実装が一通り終わったので、デバッグしてアプリケーションの実行内容が正しいかを確認していきます。以前から用意されているものも含めて、デバッグ時に利用できる無償版の機能を確認しながら作業していくことにします。

アプリケーションのデバッグ作業

 まずは、基本的なデバッグ作業を行います。UpdateResultメソッドの最初のif文にブレークポイント*9を設定して実行してみます。ブレークポイントを設定するには、コードの左側のサイドバーをクリックします。すると、ブレークポイントが設定された行のコードの色が変化します。メニューから「デバッグ」→「デバッグ実行」または、F5キーを押してデバッグを開始してください。表示された電卓に、数字を入力して+ボタンなどをクリックすると、図14のようにブレークポイントで処理が停止します。

図14●ブレークポイントで処理が停止した様子
図14●ブレークポイントで処理が停止した様子
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 左下にローカル変数の確認ができるウィンドウ、右下に呼び出し履歴を確認できるウィンドウがあります。下側左右のウィンドウのタブを切り替えた図15を見てみましょう。自分で変数名や式を入力して内容を確認できるウォッチウィンドウ(左)や簡単なコマンドを入力して処理結果を確認できるイミディエイト ウィンドウ(右)などが用意されています。

図15●ウォッチウィンドウとイミディエイト ウィンドウ
図15●ウォッチウィンドウとイミディエイト ウィンドウ
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 中央のエディタでは、処理が停止している行を黄色で表示しています。ResultTextBoxのTextプロパティにマウスカーソルがを持っていくと、その内容がツールチップで表示されます。ツールチップはCtrlキーを押すと半透明になるので、ツールチップに隠れてしまったコードもすぐに確認できます。

ツールチップのピン止めで変数を確認

 先ほど、ツールチップを紹介しました。Visual Studioの従来のバージョンでは、いくつかの変数の値を同時に確認したいときに、ローカルウィンドウやウォッチウィンドウを利用する必要がありました。しかしVS2010では、ツールチップのピン止めがサポートされているので、ツールチップを表示した状態でツールチップ右側のピンマークをクリックするとツールチップを常に表示します。

 ピン止めしたツールチップは、その行の右側に表示されますが、ドラッグ&ドロップで自由に移動できます。また、ツールチップの下側にはコメントも記入できます(図16)。その場所で使われている変数の意味などを書いておくと、他のプログラマがコードを見たときにわかりやすいでしょう。

図16●値を表示してピン止めし、コメント欄を表示した様子
図16●値を表示してピン止めし、コメント欄を表示した様子

 さらに、ピン止めしたツールチップの情報は、XML(Extensible Markup Language)形式でエクスポートすることもできます。メニューから「デバッグ」→「データチップのエクスポート」を選択し、ファイル名を付けて保存します。ツールチップを削除してしまっても、保存したファイルをインポートすることで、いつでも同じ場所にツールチップを復元できるのです。

 ただ注意点もあります。エクスポートしたファイルは復元する場所の情報として行情報を持っています。ファイルを編集すると復元する場所がずれてしまいます。