これまでテストや設計など、個人ごとの作業効率を高める機能を紹介してきました。最後に、開発チームを統括する機能やプロジェクト管理者のために用意されたTeam Foundation Server(TFS)2010の機能を紹介します。

プロジェクトの管理

 TFSを使う上で、すべての基本となるものが二つあります。一つは、TFSを利用するために作成する「チーム プロジェクト」です。TFSが情報を管理する単位で、様々な作業者の情報を管理するベースになるものです。基本的には、開発対象のシステムに対して一つ用意します。

図20●チーム エクスプローラーにチーム プロジェクト「test」が表示されている様子
図20●チーム エクスプローラーにチーム プロジェクト「test」が表示されている様子

 もう一つは、TFSにチーム プロジェクトを作成したり、チーム プロジェクトを利用して作業したりするための「チーム エクスプローラー」というツールです。チーム エクスプローラーを表示するには、VS2010メニューから「表示」→「チーム エクスプローラー」を選択します。

 そして、チーム エクスプローラーのツールバーから「チーム プロジェクトに接続」を選択すると、TFSに接続したり、チーム プロジェクトを選択してチーム エクスプローラー上に表示したりといったことが可能になります。

 誌面の都合上、チーム プロジェクトの作り方までは解説しません。MSDNライブラリの「チーム プロジェクトの作成」を参考に作成してください。実際に、TFSへの接続やチーム プロジェクトの作成を行うと、チーム エクスプローラーは図20の状態になります。

ソースコード管理と自動ビルド

 TFSを利用していく上で欠かせない「ソースコード管理」と「自動ビルド」を簡単に紹介します。これらはTeam Foundation Server 2005から提供されているもので、新機能というわけではありませんが、チェックインの品質確認を行う機能を知る上でこの二つの機能を説明しないわけにはいきません。

 ソースコード管理は、開発したコードがハードウエア障害などで失われてしまうのを防いだり、複数人開発で誤ってコードを削除してしまったりすることを防ぐものです*11。TFSのソースコード管理機能は、VS2010上に表示されるソース管理エクスプローラーを使って行うこともできます(図21)。

図21●ソース管理エクスプローラーの画面
図21●ソース管理エクスプローラーの画面

 自動ビルドは、スケジュールに基づいて、登録されているソースコードを定期的にビルドする機能です。自動ビルドを走らせるタイミングは、トリガーによって設定でき、図22のようにいくつかのトリガーがあらかじめ定義されています。例えば、「スケジュール」トリガーを利用すれば、毎日午前3時にビルドを行うといった設定が可能です。

図22●自動ビルドのトリガー設定画面
図22●自動ビルドのトリガー設定画面
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Team Foundation Server 2010のセットアップ

 従来のTeam Foundation Serverは、インストールがやや難しいため、導入を諦めた利用者が数多くいました。こうしたユーザーの声を反映して、Team Foundation Server 2010のインストールは非常に簡単になっています。また、Windows ServerだけでなくWindows 7などのクライアントOSにもインストールできるようになりました。

 クライアントOSへのインストール方法は、ウィザードに従って、「次へ」や「完了」などを選択していくだけで初期構成までが終了するようになっています。インストール方法の詳細については、Visual Studio 2010 用Team Foundationインストールガイドをご覧ください。